こんにちは、ソルトワンです。
突然ですが皆さん、音楽ゲームにおける「ランダムオプション」というものをご存じでしょうか?ランダムオプションとは、簡単に言えば譜面のノーツ配置を無作為に入れ替えてしまうしてしまうオプションの事です。
配置がデタラメになるため一見難易度が上昇してしまいそうなオプションですが、一部の音楽ゲームにおいては逆に譜面を簡単にすることができるオプションして使われています。この時、ランダムで簡単になった譜面は「当たり譜面」とも呼ばれます。
この記事では、もしバンブラPにランダムオプションが実装されていたらどう使えるのかについて考察していきたいと思います。
この記事はバンブラPアドベントカレンダー2023参加記事です。
ランダムオプションについて
IIDXにおけるランダムオプション
前置きとして、まずランダムオプションについて解説します。
ランダムオプションとは、譜面のノーツ配置を無作為に入れ替えるオプションの事であり、またこのランダムオプションを使うことを「ランダムを掛ける」と言います。ランダムオプションは主にbeatmania IIDX(以下IIDX)という音楽ゲームで使われるオプションで、以下ではIIDXの例を挙げてランダムオプションについて説明します。
まずIIDXについて。IIDXは画面上部から7レーンに分かれてノーツが降ってくる音楽ゲーム*1で、それぞれに対応したボタンをタイミング良く押して遊びます。
ここで、例として以下のような譜面を考えます。
この譜面に対してランダムを掛けると、以下のような配置になります。
これは、以下のようにレーンを無作為に入れ替えた結果、このような譜面になっています。
このようにレーンをでたらめに入れ替えるのが、基本的なランダムオプションの効果です。この時、画像上側のランダムを掛ける前の譜面を「正規譜面」と呼びます。
IIDXは正規だとプレイしにくい譜面が多く、そのためランダムが多く使われる音ゲーです。他ではpop'n musicの一部譜面でも有効とされ、一方でjubeatやSOUND VOLTEXでは譜面を簡単にするという観点からは殆ど利用されません。
また、ランダムを掛けた場合でもハイスコアなどはきちんと保存されます。
ランダム当たりとは
それでは、ランダムオプションはどんな場合に使えるのでしょうか?
IIDXにおけるランダムが有効な配置の一つに、「デニム」と呼ばれる配置が有ります。下の画像のような配置のことで、そのまま押そうとすると複雑な指の動きが必要になり難しい配置です。
この譜面にランダムを掛けると、以下のような配置に変化する場合があります。このようになると、右手で右側4つ・左手で左側3つを押せばいいのでとても簡単になります。
このように、ランダムを掛けることで簡単になる場合がある譜面がIIDXには多く存在します。
ある譜面がランダムで簡単になる場合があるとき「○○(曲名)はランダム当たり」と言い、その簡単になった譜面を「当たり譜面」と言います。
ランダムの種類
ここまでIIDXの基本的なランダムオプションについて話してきました。実はランダムオプションにはいくつかの種類があり、それぞれによってランダムの掛かり方が異なります。
以下は各音ゲーに存在するランダムオプションの一部です。
それぞれについて、詳しくは次で見ていきます。
バンブラPにおける「ランダム当たり」についての考察
ここから、バンブラPでランダムオプションが使えそうな譜面について考察していきます。
上で挙げた各種ランダムオプションについて、それぞれをどうバンブラPに落とし込むか、またランダムを適用するとどんな譜面になるかを考察していきます。
なおバンブラPにランダムオプションは存在しないので、ここから先は全部エアプの話になります。
今回この考察のために、こんなものを用意しました。
正規譜面を入力すると、自動的にランダム譜面を生成してくれるツールです。Excelで作りました。これを使って考察していきます。(下の「おわりに」の章にスプレッドシートに移植したものへのリンクがあります)
RANDOM(IIDX)
IIDXのRANDOMの仕様は上で解説した通りです。
まず、このRANDOMの仕様をバンブラPに落とし込むことを考えます。ボタンドラムの事を考えると、↓←↑→YBAXLRをランダムに入れ替えたものがRANDOMに相当すると考えられるのではないでしょうか*2。また、タッチドラムの事を考えれば、♠♣♦♥♤♧♢♡をランダムに入れ替えたものと考えられそうです。
では、この条件でランダム当たりの譜面を考えてみます。
- 裏表ラバーズ(ハリヒャッポン)/ロックドラム(マスター・ボタン)
正規譜面だとLに連打が多く、Lボタンの押しにくさもあってかなり難しい譜面です。
しかしながら、上のようにRANDOMで当たり譜面を引くと連打が↓ボタンになり楽になります。その上、この場合だと↑がRになっているお陰で左手の負担も激減しています。これはランダム当たりと言えるでしょう。 - ぽっぴっぽー(ツムンテマ)/シンセドラム(マスター・タッチ)
正規譜面だと、交互で叩こうとすると左手で上段♥を叩いたり右手で上段♣を叩いたりする必要があり、手が少し絡まりやすい配置です。
しかしながらこのようにRANDOMで当たり譜面を引くと、左手は左側、右手は右側のボタンを捌けばよくなるので、各段にやりやすくなりそうです。
またこの譜面は癖が付きやすい譜面でもあるので、癖が付いた時の逃げ道としても使えそうです。
RANDOM(SOUND VOLTEX)
上ではIIDXのRANDOMについて考えました。しかしながら単純にドラムパートで↓←↑→YBAXLRを入れ替えるのだけでは、上下配置がめちゃくちゃになったり無理押しが発生してしまう可能性があります*3。また、この考え方はドレミパートに落とし込みにくいです。
ということで、これを解決するためにSOUND VOLTEXのRANDOMを考えてみます。
SOUND VOLTEXには4レーンのBTと2レーンのFXが別々に存在し(詳細略)、SOUND VOLTEXのRANDOMではそれぞれに対してランダムがかかります。ランダムの仕組み自体はIIDXのRANDOMと同じで、生成される譜面は4!×2!=48通りです。
またSOUND VOLTEXには加えて2個のアナログデバイスがありますが、こちらはRANDOMでは変化しません。
これをバンブラPに落とし込むことを考えます。ドラムパートなら、上下段に分けて↓←↑→どうし、YBAXLRどうしをそれぞれランダムに入れ替える、というのが考えられそうです。また、ドレミパートではLRだけ役割が違う*4ので、↓←↑→YBAXどうし、LRどうしをそれぞれランダムで入れ替える、もしくはアナログデバイスと同様に考えてLRは入れ替えない、というのが考えられそうです*5。
では、この条件でランダム当たりの譜面を考えてみます。
- 驫?~とりぷるばか~(くろのあ)/シンセリード①(マスター)
正規譜面はL混じりの↓←トリルがあり、非常に捌くのが難しいです。
しかしながらRANDOMにおけるこの当たり譜面を引くと、このように両手で交互に捌けるようになります。またこの部分以外は基本的に簡単な譜面が続くので、他の地帯がRANDOMで難化することもないです。これはランダム当たりと言えるでしょう。
ちなみにここではLRの入れ替わりありで考えていますが、LRの入れ替わりが無くても同じように当たり譜面は存在します。 - ウルトラリラックス(くまのひと)/ティンパニー(マスター)
正規譜面だと→↑↑が全部左手であり、しかもそれが何小節も繰り返されるので、左手の負担が大きい譜面です。
ですがRANDOMにおけるこの当たり譜面だと、X↓↓と右左左で負担を分担できるので捌きやすいです。
ただし当たり方次第では他の地帯が逆に難しくなります。といってもこの難所の方が長いのでこれでも十分当たりと言えるでしょう。
R-RANDOM(IIDX)
Rotation RANDOMの略で、IIDXで全てのレーンを右に何レーンかランダムでズラすオプションです。上の画像の場合だと、下のように全てのレーンが右に4つズレています。
生成される譜面が12通り*6と少ない、元の譜面と似た配置が降ってきやすいといった特徴があります。
これをバンブラPに落とし込むことを考えます。ドレミパートを考えると、通常は↓を最低音として↓←↑→YBAXと音が高くなっていきます。この最低音の位置が毎回変わり、音が高くなっていく順番は同じか逆(例えば、←を最低音として←↓XABY→↑と音が高くなっていくなど)というのがR-RANDOMに相当すると考えられるのではないでしょうか。
では、この条件でランダム当たりの譜面を考えてみます。
- CATCH YOU CATCH ME(ほし)/ストリングス(マスター)
正規譜面だとABXYに偏った配置があり、とても押しにくいです。
しかしながらR-RANDOMで当たり譜面を引くと、これが十字とABXYに分かれてとても捌きやすくなります。
またこの譜面でRANDOMではなくR-RANDOMを使うメリットとして、この譜面の他の地帯が難しくならないことが挙げられます。
正規譜面には画像のような高速階段が存在し、RANDOMを掛けるとかなり難しくなってしまいます。
しかしながらこのR-RANDOMだと画像のように変化するので、難易度は大きく変わりません。
S-RANDOM(IIDX)
Super-RANDOMの略で、全てのノーツをそれぞれランダムなレーンに配置します。RANDOMでは各レーンごとに場所を入れ替えていたのに対し、S-RANDOMでは各ノーツごとに場所を入れ替えているのが特徴です。
例えば上の画像の譜面では、1ノーツ目は⑦レーン、2ノーツ目は②レーン、3ノーツ目は⑦レーン……という風にランダムに配置されています。
これをバンブラPに落とし込むことを考えます。ドレミパートを考えると、↓←↑→YBAXがノーツごとに変わるというのがS-RANDOMに相当すると考えられるのではないでしょうか。SOUND VOLTEXに倣ってLRは固定してもいいでしょう。
では、この条件でランダム当たりの譜面を考えてみます。
- おジャ魔女カーニバル!!(ほし)/E・ベース(マスター)
正規譜面だと同色の連打が多く、これに追いつけないと厳しい譜面です。置換が使えないため一部ではマスターよりプロの方が難しいと話題
しかしこのようにS-RANDOMを掛けるとその連打が少なくなり、連打系譜面が苦手な人でも捌きやすくなります。S-RANDOMはこのように連打を減らすのにとても便利です。 - おしゃかしゃま(ブランド)/E・ギター①(マスター)
正規譜面だと倍速で同色4分がずっと続く地帯があるのですが、この地帯は押し直しでTAIL MISSを取られやすいです。
しかしこのようにS-RANDOMを掛けると、同じボタンを押し続けなくてよくなります。これでTAIL MISSを出にくくすることが出来ます。 - GLITTER(はっしー)/スクエアリード④(マスター)
この曲は最初から最後まで同じ配置が続きます。そのため、正規譜面だと演奏してる途中でゲシュタルト崩壊を起こしやすいです。
この譜面にS-RANDOMを掛けると、配置のパターンが毎回変わるようになるのでゲシュタルト崩壊を起こしにくくなります。
SPLIT(jubeat)
jubeatは縦4列・横4列・計16個のボタンを押して遊ぶ音楽ゲームです。
SPLITを使うと、左2列・右2列それぞれの範囲内で譜面にRANDOMが掛かります。言い換えれば、「左側のノーツは左側、右側のノーツは右側のままにしてRANDOMを掛ける」ということです。
ランダムの仕組みはIIDXのRANDOMと同じで、生成される譜面は8!×8!=1625702400通りです。
これをバンブラPに落とし込むことを考えます。タッチドラムを考えると、♠♣♦♥どうし、♤♧♢♡どうしをそれぞれRANDOMで入れ替えたものがSPLITに相当すると考えられるのではないでしょうか。
では、この条件でランダム当たりの譜面を考えてみます。
- リンちゃんなう!(ぴぎゃーも)/ポップドラム(マスター・タッチ)
正規譜面だと、最初の♢♠♠♡♡という部分がボタン配置の遠さのため捌きにくいです。また指同士がぶつかりやすい配置でもあります。
しかしSPLITでこのような当たり譜面を引くと、♢♣♧というとても近いボタン配置になり、また交互でも指がぶつかりにくい譜面になります。
またSPLITを使うことにより、下段と上段が入れ替わらないので譜面の予測もしやすいです。
MIRROR(各種音ゲー)
正規譜面を左右対称の配置にします。決まった譜面が降ってくるので実際にはランダムとは言えませんが、一部音ゲーではランダムオプションとして扱われているでここで取り上げます。
これをバンブラPに落とし込むことを考えます。ドレミパートなら、Xを最高音としてXABY→↑←↓と音が下がっていき、またLRも逆になるというのがMIRRORに相当するのではないでしょうか。
利き手とは逆側に難しい配置が来る譜面なら何でも使えます。
おわりに
いかがでしたか?
今回は「もしバンブラにランダムオプションがあったら」というテーマの元色々なランダムオプションやその当たり譜面について考察してきました。
この記事ではExcelで作ったツールを使いましたが、今回スプレッドシートにそのツールを移植しています。ここから使ってみてください(一部機能が動作しません誰かGAS教えてください)。
もし良ければ、皆さんもどんなランダムオプションが使えるか・どんな譜面に使うと効果的か考えてみてください。そしてコメント等で是非教えてください。
おまけ(ランダムの有用性)
当たり待ち
「でも当たり譜面はランダムだから狙ってプレイするのは難しいし、ランダムオプションを使うよりも普通に練習した方が良いのでは?」と思うかもしれません。実はある程度狙って当たり譜面を引き当てに行く方法があります。以下IIDXの例で話します。
IIDXのランダムでは7!=5040通り*7の譜面が生成されるので、何か1種類の譜面を狙って引き当てるのは困難です。その為、まずはある程度の許容をもって「○○のパターンは当たり譜面」と前もって決めておきます。例えば上記のようにデニム配置が右4つ・左3つの交互に変化するパターンを当たり譜面として考えると、その当たり譜面は4!×3!=144通り存在し、当たり譜面を引ける確率は144/5040≒2.9%となります。だいたい24回やれば5割、56回やれば8割の確率で当たり譜面を引けるぐらいの確率です。
この時、単純に24回だとか56回だとかプレイするのでは途方もない時間がかかってしまいます。しかしながら、曲の開始直後の数ノーツを見て配置を判断し、当たり譜面でなければ途中終了してもう一度その曲をプレイしなおすということを繰り返すことで、当たり譜面を引くまでの時間を短縮できます。例えば最初に正規譜面で①→②→③→④→⑤→⑥→⑦という配置が来る譜面であれば、その7ノーツがどこに来るかを見ることで、どのレーンがどう入れ替わっているかを判別することができます。
このように簡単な配置を引くまでRANDOMを使って粘ることを「当たり待ち」と言い、この手法の存在によってランダムオプションの使用が現実的になっています。*8。
ランダムの長所
- 一部の譜面が簡単になる
当たり譜面を引き当てることによって譜面を簡単に出来ます。スコア狙いでランダムオプションを使う一番の動機と言えるでしょう。 - 癖がつかない
毎回違う譜面をプレイすることになるので、癖が付きにくいです。また逆にランダムオプションを掛けて何度もプレイすることで癖を抜くという使い方も出来ます。 - 認識力が鍛えられる
毎回違う譜面をプレイすることになるので、認識力が付きます。これはスコア狙いというよりも地力の向上という観点から考えた利点です。
ランダムの短所
- 譜面の練習が出来ない
ランダムで毎回違う譜面が降ってくるので、前もって譜面の練習は出来ません。場合によっては高い認識力が必要になります。
バンブラPにはテンポを落として演奏できる「練習」機能がありますが、ランダムを使用する上では活用できません。 - 当たり待ちに時間がかかる
最初の数ノーツを見てリトライを繰り返す時間は、多くの人にとってあまり楽しい時間ではありません。そもそも当たり譜面が引けるのがいつになるか分からないという問題もあります。 - 無理押しが発生する
ボタンドラムのRANDOMで少し触れた問題で、ランダムの掛かり方によっては無理押しが発生します。場合によっては「全体的に当たってるけど一部に無理押しが…」なんてこともあり、無理押しをゴリ押ししないといけない場合もあります。
*1:実際にはこれにSCRATCHが加わったり、モードによってより多くの鍵盤を使ったりしますが、今回は7つのボタンだけを考えます
*2:ちなみにこの時、Aを押すとシンバルの音がしたりRを押すとタムの音が鳴ったりします
*3:実際、pop'n musicのRANDOMでは無理押しが多く発生します
*4:↓←↑→YBAXLRは音を出す一方、LRは出す音を半音/1オクタ―ヴ変える
*5:このとき、置換(R↓をXなど)できるノーツは毎回変わることになります
*6:元の譜面を1~6レーンずらしたものと、それぞれを左右対称の配置にしたもので12通り
*7:正規と同じ譜面も含む
*8:実際には2.9%だと確率が低すぎるので、もう少し広めに許容を持つことが多いです