【バンブラP】演奏しやすい打ち込みとは?

 こんにちは、ソルトワンです。

 皆さんは、自分が打ち込んだ曲で「テンポ変更がおかしくて演奏しづらくなった」「マスター譜面にLが多すぎて無駄に難しい」といった経験をしたことは有りませんか?

 そういったことを少なくする為に、この記事では「演奏しやすくなる打ち込みの仕方」について書こうと思います。

※演奏のしやすさの基準は人によって異なります。この記事はあくまで一例です。

 

この記事はバンブラPアドベントカレンダー2021参加作品です。

調号設定

  • 調号は正しく設定する

 調号はその曲に合ったものに設定しましょう。また曲中に転調がある場合はきちんと調号を変化させましょう。

 調号が正しくないと、マスターのドレミ譜面でLが多くなったりして演奏しづらいものになってしまいます。

 バンブラPの審査項目には「調」に関する項目が有るので、不採用の原因にもなります。何故か調号が間違ったまま審査に通って配信されている曲もいくつかありますが…

 曲の調が分からない場合は、メインメロディの臨時記号が少なくなるようにすると上手くいく場合が多いです。

 

テンポ変更

 半速を使って曲をフルで詰め込んだり、倍速にして24分や32分を入れたり、バンブラPではテンポ変更が打ち込みでかなり重要になってきます。演奏しやすい譜面にするためには、ここで押さえておくべき点が多くあります。

 前提として、テンポを速くするほど判定が厳しくなるということは押さえておいてください。

 

  • テンポ変更は基本的に小節の頭で使う

 基本的にテンポ変更は小節の頭のみで使うのが望ましいです。どうしても小節の頭で使えない場合でも、テンポ変更は拍の頭で使うようにしましょう。

 拍の途中から使ってしまうと、テンポ変更のタイミングが掴みづらくなり、リズムが分かりにくくなってしまいます。

 基本的には24分や32分が入ってる小節の頭から2倍速にし、次の小節の頭で等速にするという方法が後述するパターンと照らし合わせても望ましいです。

 

  • 基本は2倍速と0.5倍速しか使わない

 それ以外を使うと演奏する時にリズムが分かりにくくなってしまうので、2倍速と0.5倍速以外は使わない方が良いです。

 例外は以下のように24分を打ち込む場合(等速→0.5倍速→1.5倍速→等速)でしょうか。

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 これは色々な曲で使われており、また認識もそこまで難しくないのでアリだと思います。加えて、テンポ変更を使う範囲も短くなるので、テンポ変更による判定難化を抑えられるという点でも好ましいです。*1この場合2つ目のテンポ変更は拍の頭ではなくなるので、1つ前で述べた「拍の頭のみでテンポ変更を使う」というパターンの例外でもあります。

 

  • 小節や拍の頭はズラさない

 小節や拍の頭がズレると譜面の認識が非常に難しくなるため、小節や拍の頭はズラさない方が良いです。小節や拍の頭がズレてしまう場合は、揃うように調整しましょう。

 バンブラPの譜面は、見た目上では1拍ごとのブロックに区切られ、また1小節毎に譜面に改行が入る*2ようになっています。そのため、小節や拍の頭がズレるのはかなり認識しづらいです。

 小節や拍の頭が揃うように調整する場合、テンポ変更が2倍速や0.5倍速でなくなったり、テンポ変更が拍の頭でなくなったりする場合もあります。それでも小節や拍の頭を合わせることを優先した方が良いです。そういった意味では、前2つで述べたパターンの例外とも言えます。

 

 曲によっては、基本は4/4拍子ながら一部で3/4拍子になったり、あるいは1曲を通して7/8拍子だったりすることがあります。

 そういった曲で、例えば「基本4/4で一部3/4拍子になっているので、3/4拍子の所だけ1.333倍速」にしたり、「1曲を通して7/8拍子だから、4/4拍子で打ち込むために6拍は等速1拍は2倍速」にしたりすると、音符間隔が見辛くなったりテンポが頻繁に変わったりして演奏しづらい譜面になります。

 なので、こういった変拍子がある場合でもテンポは変えない方が良いです。無理に4/4に落とし込もうとするとかえって演奏しづらくなる事が多いです。

 この時は小節や拍の頭が揃わないこともあるので、1つ前のパターンの例外になります。ただし、一部で拍子が変わるような曲(例えば4/4拍子→7/8拍子→4/4拍子と変化するもの)で、もとの拍子に戻る時に小節や拍の頭がズレてしまう場合は、小節・拍の頭を揃えるために変拍子の終わりに調整した方が良いです。

 

 曲によっては「テンポを無視して適当に音を伸ばす」ことがあり、これを音楽用語でフェルマータと言います。この時もテンポ変更が必要になりますが、元のテンポに戻る時にタイミングが掴みづらくなる事があります。

 充分な猶予がある場合に限りますが、元のテンポに戻るタイミングでテンポ変更させるよりも、ある程度手前からテンポ変更させると、テンポを掴みやすくなり演奏しやすくなります。

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 こういった時には以下のような計算式が使えます。*3

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 ここで、a,b,cは拍数(基準となる拍⦅4分・8分など⦆は任意)、A,B,Cはテンポです。上記の場合ならば、テンポ75で3拍分のところをテンポxで1拍分+テンポ100で2拍分としたいので、

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 という方程式を解いてx=50と求められる*4ので、上記のように打ち込めます。

 

  • テンポ変更は正しい数値で行う

 2倍速や0.5倍速を使う時は、必ず正確な数値でテンポ変更させるようにしましょう。

 例えば「基本テンポが155の曲で32分を打ち込みたい時に、テンポを300に設定する」といったことは避けた方が良いです。本来設定すべきテンポは310ですが、そこからテンポが10下がるだけでもかなり変わりますし、その上高速で判定が難化しているとなるとかなり演奏しづらいです。この場合は等速で打ち込み出来る方法を使ったり、基本BPMを150にして少しテンポを落として打ち込んだりするのが望ましいです。

 

拍子設定

  • 拍子は正しく設定する

 拍子はその曲に合ったものに設定しましょう3/4拍子と4/4拍子が入れ替わる場合は、長い方に合わせると良いです。

 シャッフルの6/8拍子は曲によって4/4拍子と3/4拍子を使い分けるのが吉です。6/8拍子の打ち込みは4/4拍子を使う方法と3/4拍子を使う方法があります。観客の動きが合う・リズムが分かりやすいなどといった観点から基本は4/4拍子が良いですが、24分(楽譜上では16分)が多い曲では、2倍速を使わなくても24分が再現できる3/4拍子が好ましいです。

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 また「1曲を通して7/8拍子」といったような変拍子の場合は4/4拍子にするのが良いです。これは、3/4拍子に比べて4/4拍子の方が譜面の改行が少なくなり、比較的認識しやすいためです。

 

音色調整

  • 音色調整は手前に挿入する

 音色調整について、音色調整を挿入する場所は音色を変えるタイミングの少し手前にすると良いです。

 音色を変えるタイミングちょうどで挿入した場合、演奏時に入力が少しでも早いと手前の音色が鳴ってしまい、リズムが狂うことがあります。それを防ぐためです。

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音量設定

 前提として、バンブラPの音量設定には「ミキサー」「音量変更」「強弱設定」の3つがあることを押さえておいて下さい。

 

  • 音が小さすぎるパートはミキサーを上げて音量変更を下げる

 バンブラPは基本的には演奏時に音が鳴る*5音ゲーです。その為、音が鳴っていない、あるいは音が小さすぎると演奏しにくい事があります。

 そういった事態を防ぐために、音が小さすぎるパートについては、ミキサー音量を上げて音量変更を下げると良いです。演奏時に鳴る音の音量はミキサーを参照しているので、ミキサーを上げれば、音量変更を小さくしても演奏時にはしっかり音が鳴ってくれます。

 例えばミキサー10で音量変更99にするよりは、ミキサー99で音量変更10にする方が良いです。*6

 

  • ボカロのセリフ地帯は無音にしない

 1つ前で述べた通り演奏時に音が鳴っていないと演奏しづらいので、ボカロのセリフ地帯でも演奏時に音が鳴るようにする方が良いです。

 ミキサー音量を0にしたり、あるいは音色調整で音が鳴らないように設定するのは避けた方が良いです。セリフパートで音を鳴らすと違和感がある場合は、音量変更を0にしたり、セリフパート用の音色*7を用意したりすると良いです。

 

歌入力

 ボーカルの表情コントロール内にピッチコントロールという項目があり、そこでボーカルのピッチの変化を設定することが出来ます。

 ピッチコントロールを活用することで楽譜の音階に手を加えずしゃくれ等を再現し、演奏しやすくできる場合があります。

 ピッチコントロールの仕様は以下の通りです。ポルタメントの下降形のみ一つ前の音に適用されるという点には注意が必要です。

 参考ページ。図が分かり易いです。「VOCALOID入門」http://doku.bimyo.jp/miku/page02/

 ベンドとは 音の先頭部のピッチの下げ具合。基準音へとそれより低い音から始まり基準へと到達する。
 ベンドの深さ 先頭をどのくらいの低さからにするか。
 ベンドの長さ 基準音へ戻るまでの長さ。

 ポルタメントの付加
  上行形 一つ前の音符より高いピッチで音符を発音する場合、この音の先頭が前のピッチから滑らかに変化する
  下行形 一つ前の音符より低いピッチで音符を発音する場合、一つ前の音の終わりがこの音符のピッチへと滑らかに変化する

引用元:http://ashcolor27.web.fc2.com/banbrop.html

 ただし、ポルタメントだけでは上手く再現出来ないしゃくれ等がある場合は、楽譜の音階に手を加えても良いと思います。

 

テクニック

 ここでは打ち込みで使えるちょっとしたテクニックやその良し悪しについて話します。実はこういったテクニックは使わない方が良いことも多いです。

 

  • テンポ変更で変拍子を分かりやすくする

 「VIRGO 9」(チビカリ)で用いられていたテクニックです。この曲は基本9/8拍子(シャッフルの3拍子ではなく、9拍子)なのですが、1小節ごとにテンポを144→145→144→145…*8と交互に変化させることにより、テンポ変更のマークが目印となって小節の頭が分かりやすいようになっています。

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 変拍子の打ち込みに使えるテクニックです。

 

  • 分割

 例えばD・ギターでずっと16分が鳴っているような楽譜で、D・ギター①②の2パートを用いて、1音目は①に打ち込み/2音目は②に打ち込み/3音目は①に…、もしくは最初の1拍分は①に打ち込み/次の1拍分は②に打ち込み/次の1拍分は①…というように複数パートに分けて打ち込むことで演奏難易度を下げる手法のことを、分割と言います。

 これはあまり使わない方が良いと思っています。理由は4つあります。

  1. 裏拍がかなり演奏しづらい
     上記のうち1音ずつ分ける場合だと、②がずっと16分裏拍を演奏することになります。これはかなり演奏しづらいです。
  2. 通信合奏で音がおかしくなる
     通信合奏では、通信相手の誰も担当していないパートは自動で小さい音で演奏される、という仕様があります。このため、例えば①を担当している人が居るが②を担当している人が居ないという場合、1音あるいは1拍ごとに音が大きくなったり小さくなったりすることがあります。
  3. 一方の音に他方の音が重なる
     ①の音のリリース(余韻)に②の音のリリースが重なることがあり、分割しているところだけ音色の質が変わってしまって違和感を覚えることがあります。
  4. リズムが変わってしまう
     この手法をつかうと実際の原曲のリズムと演奏すべきリズムとが変わってしまい、特に原曲を知る人にとっては違和感を覚えるものになってしまいます。

 まあこれに関しては公式も使ってる*9テクニックなので、あまり使うなとは言えないのですが…

 

 音色調整のモジュレーションで音量・矩形波を用いて16分音符の連打を再現する方法があります。

 これも使わない方が良いです。普通に入力した場合に比べ音がブツブツ切れてしまう上に、演奏時にテンポが正確に合わない*10ため、リズムが狂う要因になります。

 バンブラPの連打は擦ったり痙攣したりで意外となんとかなることも多いので、そもそもあまり連打を避ける必要はないと個人的には思っています。

 

 乳首アコーディオンとは、ドレミパートにおいて主音とハモリの2パートが連打する譜面で、主音とハモリを1音ずつ切り替えることによりプロ/マスター譜面での連打を避ける手法のことです。「乳首から毛が生えてきた」(へいおまち)のアコーディオン①②でこの手法が使われていたことから名付けられています。

画像

画像引用元:https://twitter.com/heiomachi/status/556446510628352000

 個人的にはこの手法は使わない方がいいと思ってます。理由は2つあります。

  1. ビギスラが難しくなる

     この手法はビギナー譜面のスライド奏法で猛威を振るいます。ただの連打であれば同じ箇所を押さえ続けるだけで良いのですが、この手法を使った譜面ではシビアなタイミングで左右にスライドしないといけなくなります*11

     ビギナーをプレイする初心者とプロ以上をプレイする上級者ならば、前者に気を遣った方がいいかなぁと思います。

  2.  RやLの押し離しが混じってしまい余計に難しくなることがある
     
    楽譜によってはRやLの押し離しを要求される場合があり、連打よりかえって難しくなることがあります。
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  • 「でも、難しい譜面ってこういうテクニックを使って簡単にした方が良いんじゃない?」

 こういう意見もあると思います。

 自分の見解ですが、「演奏しにくい」ことと「譜面が難しい」こととは必ずしもイコールではないと考えています。

 変な速度変化があったり調号がきちんと設定されていないせいで「原曲にない難しさ」が生じ、演奏しにくい譜面になるのは避けた方が良いです。

 一方で、原曲にとても速い連打があったり困難なギターソロがあったりして「その曲ならではの難しさ」が生じ、難しい譜面になるのは全く問題ないと思います。いわゆる「人間には不可能な」譜面が許されるのはバンブラならではですし、バンブラの強みでもあるからです。

 

例外

 ここまで演奏しやすい打ち込みについて話してきましたが、どうしても上のような打ち込み方法を適用できない場合もあります。

 

  • 小節数が足りない

 バンブラでは打ち込める小節数に限りがあるため、時にはかなり無理矢理なテンポ変更を使って詰め込む必要性が出てくる場合があります。この場合は仕方ないです。それもまたバンブラだと思います。

 

  • 原曲がどうしようもない

 ギターソロのテンポが一定じゃなかったり、20分音符と16分音符が同時に鳴ってたり、原曲的に変な打ち込み(?)をしたかったりして、無理矢理なテンポ変更を使う場合もあります。この場合も仕方ないです。それもまたバンブラです。

 

  • 後ろを全部変えるのがめんどくさい

 「打ち込んでいる途中で24分や32分の存在に気付いて、2倍速にして小節をずらす必要性に気が付いて、でもそこより後ろに入れた音色調整や音量変更を変更するのが面倒で、無理矢理なテンポ変更で詰め込んだ」そんな経験はありませんか?

 これも仕方ないことだと思います。次回作で小節挿入機能が復活*12してほしいですね…

 

  • 好み

 冒頭でも述べましたが、演奏のしやすさの基準やここまで述べた手法の是非は人によって変わってくると思います。個人の好みで使ったり使わなかったりが有ると思います。

 

あとがき

 この記事を作るにあたり様々な方の紹介している手法を参考にしたり引用させていただいたりしました。ありがとうございます。

 「ここで言っていることがよく分からない」「ここはこうした方がいい」など意見が有りましたらコメントでよろしくお願いします。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。良い打ち込みライフを!

*1:ただしこの配置が何度も連続する場合は、見づらくなるので素直に小節全体を2倍速にする方が良いです。

*2:ギターパートやスライド譜面を除く

*3:バンブラPのテンポ変更が正確であるという前提です。

*4:この場合は簡単にxが求められますが、計算が面倒な場合はこのサイトなどを使うといいと思います

*5:いわゆる「キー音あり」の

*6:厳密にはこの設定だと同じ音量にはならないみたいです。拘りたい人はこちらを参考にしてみると良いと思います

*7:おこちゃま戦争(じゃばらん)など

*8:推定

*9:アイネ・クライネ・ナハトムジーク大合奏!バンドブラザーズPメドレーなど

*10:バンブラPは演奏時にテンポが多少落ちる仕様があるため、打ち込み時に合っていてたとしても演奏時にズレます

*11:タッチペンを2本使う方法もありますが、ビギナーをプレイする人にとってはどちらも難しいでしょう

*12:初代にはあった